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量子ドットへの誘い マイクロエレクトロニクスの未来へ
/シュプリンガーフェアラーク東京


驚きのマテリアル 超・薄・微 一億人の化学
/大日本図書



 

  
イントロダクション
量子ドットの基礎
量子ドット作成 - トップダウンとボトムアップのアプローチ
応用1 量子ドットレーザー
応用2 単一電子トランジスタ
応用3 量子セルオートマトンによるコンピューティング
応用4 フォトルミネッセンスを利用したバーコード

リンク集

 
■量子ドット
 - イントロダクション

 量子ドットというのは半導体原子が数百個から数千個集まった10数nm程度の小さな塊である。では、なぜ量子ドットがこれほどまで注目されているのだろう?

 その大きな理由の一つに、量子ドットはそのサイズを変えることで、電子のエネルギー状態を簡単に変えることが出来るという変わった性質がある。つまり、量子ドットによって、まったく新しい材料の創出が可能になるというわけだ。かつて量子ドットを研究していたエール大学のMark Reedが、量子ドットのことを「デザイナー原子(designer atoms、日本では「人工原子」の方が一般的)」と呼んだが、これはマテリアルサイエンスに大きな衝撃を与えた。(>>「量子ドットの基礎」)

 例えば、これまでの半導体レーザーの開発などでは、限られた材料の中で技術者たちが苦労しながら高輝度・高効率を実現してきたが、量子ドットはその障害を取り除くことが出来る。(>>「応用1 量子ドットレーザー」)

 まだ他にも量子ドットには魅力がたくさんある。電子を一つ一つコントロールしながら輸送するトランジスタ(「単一電子トランジスタ、SET」)が実現すると、従来のトランジスタよりはるかに高性能なものになるはずだが、この単一電子トランジスタの有力候補のひとつに量子ドットが考えられている。(>>「応用2 単一電子トランジスタ」)

 また、これまでとまったく違ったコンピュータ回路の構築にも、量子ドットが一役かうことになると考えられている。(>>「応用3 量子セルオートマトン」)

 量子ドットには数えきれないほどの応用例が提案されており、そのすべてが実現するというわけではないだろう。しかし、5年後、10年後という中長期的な視野で見た場合に、量子ドットがエレクトロニクスの重要な位置を占めることは疑いようがない。そこで今回の解体真書では、基本的な性質、制作方法から、いくつかの応用例のに至るまで、量子ドットを幅広く取り扱うことにしよう。




量子ドットの基礎