代表挨拶
ミレニアムに沸いた2000年は、科学技術の世界でも、ヒトゲノム解読完了やナノテクノロジーブーム、国内でのノーベル賞連続受賞など華やかな出来事が続きました。その情報は当時のリッチコンテンツ化していくインターネットによって、逐一、大学生だった私に届きました。それに刺激されるかたちで大学生のころからサイエンス・ライター、イラストレーターとして活動を始めたことが、現在のサイエンス・グラフィックスの原点となっています。
科学技術を可視化するということは多くのシーンで必要とされます。大学の研究でも、分野が違うと同じ対象に異なったイメージを持っていることがよくあります。たとえば、高分子(ポリマー)について、半導体を扱っている研究者にはずいぶんと壊れやすい印象があるのに対して、生体分子を扱っている研究者には、タンパク質などのポリマーはかなり硬いものとして認識されています。こういったイメージの違いが存在することは不思議なことではありませんが、融合的・境界的な研究が増えてきているなか、少なからずこれは障害となります。可視化はイメージの違いを埋めるのに最適なツールと捉えています。
より俯瞰的な視野に立ってみると、世界における日本の総合競争力の低下がしきりに叫ばれる現状が見えてきます。その打開策の一つとして科学技術戦略が言われていますが、ここでは、技術一辺倒ではなく、研究開発のみならず、企画、販売、法律……と多様な人が入ってきます。ここでコンセンサスを得るツールとして可視化が有効であると考えます。
サイエンス・グラフィックスは、激動する社会のなかで必要とされる科学技術の可視化のニーズを的確に捉え、科学技術の発展に貢献し、そしてすべての人がその恩恵を実感できるよう全力を尽くしていきます。
代表取締役社長 辻野貴志