この「ナノエレクトロニクス」のホームページは、現在、サイエンス・グラフィックス(株)が管理しています。すべてのお問合せはこちらにお願いします。また、このホームページは2003年までのもので、現在は内容的に古くなっている可能性がありますが、あらかじめご了承下さい。

ナノテクノロジーの入門サイト。CGを駆使して解説。書籍紹介、R&Dリンク集など。





ここまできた光記録技術―光記録産業の巨大化へ向けて
 /工業調査会

     最終更新日;2003/03/23
 

  
イントロダクション
光ディスクの基礎
CD-ROM,CD-R/RWの比較
DVDについて
次世代光ディスクについて
リンク集

 
■光ディスク
 − 次世代光ディスクについて

次世代光ディスクを推し進める二つの要因

 ある二つの要因から、現在DVDを超える新しい光ディスクが開発されている。

 一つ目の要因はデジタル放送からのニーズだ。現在、BSデジタル放送がはじまっているが、2003年ごろからはデジタル地上放送も始まるとされている。では、今後のデジタル放送の波にDVDは立ち向かっていくことができるのだろうか?デジタル放送を録画するならば、やはり送信されてきたデジタルデータを、そのままストリーム記録するのが望ましい。高画質なハイビジョンはデータ転送レートが約24Mbpsとなり、4.7GバイトというDVDの容量では20数分のストリーム記録しかできない。映画のような2時間単位のコンテンツを録画しようとすると20GB以上の記憶容量が必要となる。

 二つ目の要因は「青紫色レーザー」開発が進み、技術的な環境が整ってきたということだ。青紫色レーザーの基礎となる青色ダイオードは元日亜化学社員の中村修二氏によってはじめて実現された。この発光ダイオード/レーザーは光の波長が400nmよりも少し大きい程度と、可視光領域のなかでも紫外に近い領域にある。また、光ディスクにデータを書き込むには、単にレーザーが出来ただけでは不十分で、書き込みの際にハイパワーのレーザーが必要となる。これも最近の研究開発で急速に展望が開けてきた。

 こうして登場してきた次世代光ディスクが、ソニー、パイオニア、フィリップスなど9社が推す「
Blu-Ray Disc」だ。一方、これとは別に東芝とNECが別規格の次世代光ディスクを開発している。ここでは両者の次世代光ディスクの主な物理的仕様と現状について扱うことにする。

Blu-Ray Discの主な物理的仕様
 大きさはCDやDVDと同じく、直径12cmの光ディスク。レーザー光の波長は405nmのものを使用している。そのため従来のDVDと比べて光をより小さく集中させることができる。 DVDでは最小ピット長が0.4μm、トラックピッチが0.74μmであるのに対し、Blu-Ray Discではそれぞれ0.14μm、0.32μmである。またDVDでは0.6mmだった保護層が、開口数の高いレンズ(NA=0.85)によりBlu-Ray Discではわずか0.1mmとなっている。おかげで片面一層で27GBという大容量化が可能となり、36Mbpsとデータ転送も高速である。今後は片面二層で50GBが目標とされている。

 Blu-Ray Discは書き換え可能なRAM形式がROMよりも先行して開発されており、次世代光ディスクの最大の用途がハイビジョン録画であることを強く物語っている。
 ソニー、松下電器産業、パイオニア、日立製作所、シャープの国内5社と、欧州のフィリップスとトムソン マルチメディア、そして韓国のLG電子ジャパンと日本サムスンの9社がBlu-Ray Discを推している。
東芝・NEC規格の主な物理的仕様
 採用しているレーザーの波長など基本的なところは上のBlu-Ray Discと同じである。ただしBlu-Ray Discと東芝・NEC規格の最大の相違点は、前者がDVDとはまったく異なる技術を採用しているのに対し、後者は多くの点でDVDと共通した技術を採用している点だ。対物レンズの開口数をDVDと同じ0.65にしたほか、0.6mmのディスクを貼り合わせた構造を採用している。そのため東芝・NEC規格の記憶容量は片面一層で15GBとBlu-Ray Discに比べて劣るものの、ドライブなど関連装置の開発でDVDの技術を援用できるなどのメリットがある。

※2002年9月現在、東芝・NECは独自の次世代光ディスクの名称を発表していない。


次世代光ディスクの今後

 記録型DVDのときと同じように、次世代光ディスクでもこの二つの規格のものに、業界がまっぷたつに分かれそうな兆しを見せている。しかし両者とも光ディスクという大きな視点から見ればたいした差はなく、むしろ二つの規格が対立すると、記録型DVDのように普及の障害となる可能性もあるだろう。この次世代光ディスクは2003〜2004年あたりにはじめて市場に投入されると考えられているが、その後はどうなるかわからない。

 ハードディスクは1TBの超高密度化を目指して順調に開発が進んでいるし、「ホログラフィックメモリ」と呼ばれる従来のものとはまったく別技術の光ディスクも比較的近いうちに登場してくると思われる。次世代光ディスクが再び規格対立で混乱するようなことがあれば、消費者はこれらの「代替」技術に振り向き、次世代光ディスクにはそっぽを向けるかもしれない。




DVDについて リンク集