■半導体メモリ
− PROM, EPROM
PROMとEPROM
製造のときにデータ書き込みが行われて後で変更できなかったMROMに対し、ROMの製造後に高電圧をかけてデータを書き込まれるものに「PROM(Programmable Read Only Memory)」と「EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)」というものがある。
両者の内部の構造や原理などは比較的にているが、EPROMは紫外線の照射によりデータの一括消去が可能である。紫外線を照射できるようにEPROMには石英などからなる窓がついている。このページでは、EPROMの構造、原理について取り上げることにする。
EPROMの構造
EPROMで使われているメモリセルのトランジスタの断面構造は、左図に示すようなものになっている。このメモリセルトランジスタが、今まで紹介したメモリのトランジスタと大きく違うのは、ゲート酸化膜中に、他の部分から電気的に絶縁されたポリシリコンの「浮遊ゲート(FG;Floting Gate)」が埋めこまれている点だろう。これは、それまでのROMにはなかった概念で、後で紹介するEEPROMやFLASHなどでも同様に重要になってくる。
また、この浮遊ゲートの外部の電極は「制御ゲート(CG;Control Gate)」と呼んでいる。やはりEPROMの場合も、このメモリセルがマトリックス状に配置されている。
書きこみの原理
メモリセルトランジスタの書きこみ動作では、まず、ソースと基板を接地し、ドレインとCGにかなり高い電圧を加える。するとチャンネル中をソースからドレインに向かって走る電子は、ドレインの近傍で高い運動エネルギーを獲得して「ホットエレクトロン(HE;Hot Electron)」になり、その一部がゲート酸化膜を飛び越えてFGに注入される。
読み出しの原理
注入電子の負電荷によってFGは負電位になるので、CGから見た目盛りセルトランジスタのスレッショールド電圧(threshold
voltage)Vth1は、初期値Vth0よりも高くなる。したがって、読み出しの動作ではCGにVth1とVth0の中間の電圧を加えたとき、トランジスタのオン、オフによって判断することができる。
消去の原理
記憶を消去するには、紫外線を照射してFG内の電子を高エネルギー状態にする。すると電子はゲート酸化膜を飛び越えて基板とCGに放出されて、FGを中性の状態、つまりVth1を初期値Vth0に戻すことができる。紫外線の照射は特定のメモリセルだけに行うことは難しいので、データがすべて失われる一括消去である。
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