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カーボンナノチューブ
− 成長メカニズム
ナノチューブの成長メカニズム
今やカーボンナノチューブ(CNT)は大企業によって年間にトン規模で大量生産される時代になったが、その成長メカニズムに関しては、完全には解明されていない。
しかしCNTはメートル単位にまで成長すると、その用途が格段に広がるので、成長メカニズムを理解しコントロールできるようにすることは、そういった企業にとっても重大な関心事といえる。
CNTには単層のもの(SWCNT)と多層のもの(MWCNT)があるわけだが、両者では成長メカニズムに大きな違いがあると考えられている。というのも、SWCNTの生成には必ず金属触媒が必要であるのに対し、MWCNTは金属触媒がなくても生成するたからだ。
単層カーボンナノチューブの成長メカニズム
まずは、SWCNTの成長メカニズムに絞った話にしよう。SWCNTの成長メカニズムを解明するには、金属触媒が鍵になっていることはほぼ間違いないだろう。そこで、提案されている成長モデルの中で、金属触媒のはたらきに注目したものを二つとりあげよう。一つが金属原子が開いたチューブの端を駆け回る「スクーターモデル」で、もう一つは金属微粒子の表面からチューブが生える「フラーレンキャップモデル」だ。
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スクーターモデル[イメージCG] |
スクーターモデル
ライス大学のR.E.スモーリーらによって提案された。ナノチューブは開いたチューブのままだと、その端は炭素原子の結合手が余っているので(ダングリングボンド)、不安定である。そのため、個々に次々と炭素原子が結合をつくり、ナノチューブが成長していくとされている。ちょうど、セーターの袖のほつれを少しずつ編んでいくような感じだ。
ここに金属触媒がはまりこみ、エネルギー的に安定になる。しかし、レーザー蒸発などの高温下では、その金属触媒は一つのところに留まることなくナノチューブの端を駆け回る(scoot)ことから、このような名前がついている。
チューブの端の炭素原子が五員環をつくると(上図)、チューブの端は閉じてしまう。それによってナノチューブの成長は止まってしまいまうが、このとき金属触媒がエネルギー的に不安定な五員環を安定な六員環に焼戻してしまうので(中図、下図)、成長が止まることなく続くのだと考えられている。 |
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ウニ型フレーレンキャップモデル[イメージCG] |
フラーレンキャップモデル
アーク放電によって成長した金属触媒と炭素の蒸気はいずれ冷却されて、金属と炭素からなる微粒子をつくる(上図)。この微粒子がコアとなって、さらに炭素が析出します。このときにSWCNTのキャップとなる部分(例えばC60の半球)がはじめにでき、微粒子の表面に析出する(中図)。
このあと、金属の触媒作用によって周辺の炭素または金属と炭素の混合物粒子の炭素をSWCNTに変えるというものだ。(下図)
このとき、金属触媒の種類などによって、いくつかのSWCNTが束になって成長し(高速道路のように)枝分かれしていく「高速道路型」と、短いSWCNTが放射状に成長する「ウニ型」などに分かれるとされている。
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多層カーボンナノチューブの成長メカニズム
MWCNTの成長メカニズムはかなりよく分かっており、大雑把にいえば、直径10nm前後の金属触媒粒子が炭素をチューブ状に変えていると考えられている。用いる金属によって成長メカニズムにも差があり、一つだけではないと考えられている。
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