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はじめてのナノプローブ技術
/工業調査会


走査型プローブ顕微鏡―基礎と未来予測
/丸善


ナノ・フォトニクス―近接場光で光技術のデッドロックを乗り越える
/米田出版



 

  
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走査トンネル顕微鏡,STM
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■走査プローブ顕微鏡,SPM(Scanning Probe Microscope)
 − イントロダクション


 光学顕微鏡は、どんな小さなものでも見ることができるだろうか?

 もちろん、そんなことはない。今の私たちは光学顕微鏡の分解能(複数の物質を分解して判別できる最小寸法)が光の波長に比例するということを知っているので、光学顕微鏡の限界は数百nmあたりにあるということも知っている。

 そんな物理的な限界を克服するために、今から50年以上も昔に発明されたのが
電子顕微鏡だった。量子力学で教えるように、電子は粒子とともに波としての性格も持ち合せているので、ドブロイ波長の考え方から、電子の加速次第で電子の波長は10nmを切るほどだった。

 こうして電子顕微鏡は半世紀ものあいだ、いくつもの技術的なハードルを越えながら、水平分解能は実にオングストローム(10-10m)に達するなど、ようやくナノの世界への扉を開くに至った。

 ところがここに来て、また新たな問題が生じてきた。
それまで電子顕微鏡は分解能を高めるためにさまざまな改良がなされてきたが、その中心は、隣り合う二つの点をどれだけ区別することができるかということだった。つまり、試料面の水平方向の分解能を高めることが重点に置かれてきたのだ。

 しかし、原子レベルの世界では、水平分解能の他にもう一つ大切な要素があることを忘れてはいけない。もし原子がビー玉を敷き詰めたように配置されているとしたら、その面はデコボコしているはずだ。そしてそのデコボコを認識するには、水平分解能だけではなく、
垂直分解能も必要になってくるはずだ。

 しかも原子一つ一つのでこぼこを認識するということは、少なくとも原子の直径(数Å)よりも小さいスケール(0.1Åくらい)の分解能が要求されるだろう。

 しかし電子顕微鏡は、水平の分解能は優れていたが、これほどの垂直分解能はほとんど備えていなかった。

 他にもいくつかの問題があった。生体物質などを観測するとき電子顕微鏡では、真空状態を用意しなければならず、また電子線を照射するため、試料を傷めてしまう。結果として、生物などを生きたまま観測することは不可能だ。

 これらいくつかの問題を解決するために考え出されたのが、「
走査プローブ顕微鏡(SPM;Scaning Probe Microscope)」と呼ばれるものだった。今回の解体真書では、何種類か存在しているSPMの原理や構造、今後の展開などを取り上げてみよう。



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