このサイトは現在、サイエンス・グラフィックス(株)が管理しています。 お問合せはこちらまで。 |
||||
トップページ金は地球外生成物? | ||||
|
金は地球外生成物? |
|||
---みなさんが大切にしている金やプラチナといった貴金属に対して、実は科学者は長い間頭を悩ませてきました。というのも、金やプラチナといった重い原子の物質は、いったいどこからやってきたのかということに対して、科学者の間でははっきりとした見解が打ち出せていなかったからです。--- |
||||
この記事では 私の宝物は科学者の悩みの種 ビッグバン 中性子星の衝突のとき金は産声をあげた やっぱり、ここにありさえすればいい? という内容で構成しています。 |
||||
私の宝物は科学者の悩みの種 みなさんが大切にしている金やプラチナといった貴金属に対して、実は科学者は長い間頭を悩ませてきました。というのも、金やプラチナといった重い原子の物質は、いったいどこからやってきたのかということに対して、科学者の間でははっきりとした見解が打ち出せていなかったからです。 とはいっても科学者が頭を悩ませているのは、みなさんがそれをどこで買ったかとか、掘り出したということではなくて、それがどのようにして生成されたのかということに対して頭を悩ませてきたのです。 地球で比較的たくさん取れる金やプラチナですが、実際のところ、地球上の気圧や温度では、このような高密度の物質ができることは考えられないとされています。 ということは、金やプラチナは地球ができる前から存在していたということになりますよね。金やプラチナはそこに存在してくれるだけで十分満足かもしれませんが、その生い立ちの歴史について、おもしろい仮説が打ち立てられました 。 この面白い仮説を打ち立てたのは、レイセスター大学のステファン・ロスワグ博士です。 博士の仮説によると、金やプラチナが産声を上げたのは、なんと今の宇宙で最も激しい現象といわれる中性子星どうしの衝突のときだというのです。 金の話から突然宇宙へ飛び出してしまい、何のことか分からなくなってしまったかもしれませんね。そこで、わずかばかり話が長くなりますが、順を追って考えていきましょう。 ビッグバン ビッグバンが起こった直後に宇宙に存在していた原子といえば、水素やヘリウムといった軽い原子だけでした。しかし、これらの原子が恒星をつくり、また、冷えて炭素や酸素といったもう少し重たい原子になっていったと考えられています。 そして、酸素や炭素より重たい原子は、大きな星が超新星として爆発したときに形成されたと考えられています。 ところがここから問題なのです。先ほどの金やプラチナといったさらにさらに重たい原子は、超新星のときでも形成されないのではないかと多くの科学者が考えているのです。 中性子星の衝突のとき金は産声をあげた そこで、再びロスワグ博士の考えを見てみましょう。 そもそも中性子星というのは、圧縮によって原子がつぶれて、原子核の陽子に電子が吸収されて中性子だけになった高密度な恒星のことです。この中性子星というのは、中性子星どうしがでお互いに引き合いながら回転をしているものがあるのですが、らせんを描きながら徐々に近づいていき、最後には.....大衝突になることがあると考えられています。 そして、その過程で高温で高密度な中性子の多い「灰」を吹き出します。そしてその灰の中というエネルギーにあふれた状況の中で、金やプラチナなどが生まれると博士は言っています。そして、私たちの地球のような惑星などで冷まされて、今のような状態にあるのではないかと教授たちのグループは考えています。 何でも、この結論を出すために、量子物理から相対性理論に至るまでのありとあらゆる物理法則を使って、大きなスーパーコンピュータでその衝突をシュミレーションしたそうです。 やっぱり、ここにありさえすればいい? ところで、かるがるしく中性子星の衝突の話を持ち出しましたが、この衝突はそうそう起こるものではなく、私たちの銀河系で10万年程度に一度起こるかといった程度の、あまりにも珍しい出来事にすぎません。 そのため、理論上ではありえそうでも、結局のところ誰もその様子を観測したことがなく、その灰の中でどのようなことが起こっているかといったことはわからないといわざるをえません。 まあ、あまりハッキリしないとはいえ、地球上にはそのような激しい生い立ちを秘めた物質がたくさん転がっている(?)と考えると不思議ですよね。 しかし結局のところ、私たちにとっては、金やプラチナの生い立ち話より、やはり、そのものが今ここに存在してくれてさえいれば、それで十分かもしれませんよね(^^;。 この記事のクイック評価をしてくれる方はページのトップへお願いします。 関連ニュース 今回の発表を取り上げた科学ニュースをいくつかあげておきます。 Neutron star collisions may have forged the Earth's precious metals - NewScientist -(英語) Scientists work out origins of gold -BBC(日本語) 関連サイト ぐんまパビリオン - インパクの科学から(日本語) 中性子星について 中性子星についてもう少し詳しく書かれています。 星の一生と元素合成 - 山形大学(日本語) 詳しいことは書きませんでしたが、中性子星の衝突のときにはRプロセスと呼ばれる過程が起こっていると考えられています。難しいですが興味のある方はどうぞ。 |
もちろん他にもいろんな科学コラムがあります。
ぜひ、そちらもよんでください。
バックナンバー紹介を見てください。