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高分子エレクトロニクス―導電性高分子とその電子光機能素子化
/ コロナ社


導電性高分子のはなし
/ 日本工業新聞社

     最終更新日;2002/10/27
 

  
イントロダクション
有機トランジスタの基礎
プリンタブル集積回路、必要な技術
「ならでは」の応用例
今後の展望&リンク集

 
■有機トランジスタ、プリンタブル集積回路
 − イントロダクション

 一日に国内で印刷されている新聞紙の部数は朝刊だけでも5000万部にもなる。このニーズにこたえるためには、文字通り飛ぶように新聞を印刷していく高速輪転機が必要となる。その性能はまさに驚愕もので、最高で一時間あたり15万部(1部4ページ)を印刷することも可能だ。

 印刷速度という点では新聞の輪転機と比べて劣るが、パソコンとともに家庭に普及したプリンタも見逃すことが出来ない。国内でプリンタの普及台数は1000万台近くだと考えられ、仮にこれがフル稼働すれば、数の上では高速輪転機よりもポテンシャルが高いことになる。

 …もし、こんなふうに手軽に集積回路が印刷できたらどれほどよいことか。

 現在の半導体集積回路は、真空、高温、超高価な装置などと、とにかく複雑な製造行程を経て出来あがる(「ICチップが出来るまで」を参照)。輪転機やプリンタで新聞を印刷するのとは桁違いに作業が複雑だ。

 しかし最近になって事情が変わってきた。急速に展開してきた有機エレクトロニクスにより、無機結晶の半導体ではなく導電性高分子を使ったトランジスタなどが試作されるようになってきた。これによっていずれは、プラスチックで出来た集積回路が輪転機やプリンタといったお手軽な装置で大量安価に作ることが可能になるだろう。

 もっとも性能の面では、プラスチックトランジスタはシリコントランジスタに対して勝ち目はない。しかしプラスチックトランジスタは、プラスチックならではのフレキシビリティや軽さ、薄さ、それに安さによって、シリコンにはないニッチ市場を広げることが可能だ。ここではプラスチックトランジスタの性能や、製造行程、「ならでは」の応用例などを見ていくことにしよう。




有機トランジスタの基礎